手紙
窪ワタル

足の裏で
整然と寝ていた床板が
めりめり
めりめり
起き上がる
半座位になり
座位になり
テーブルを跳ね上げ 止まれ!

睨み合う
鼻先から吸い付こうとする
くんくん
くんくん
嗅いでみる
血の匂いだ
墨黒の体液が心臓へ染み込み
動脈へと 走る

逼塞する
墨黒の軌道に耳を澄ます
Dear
Dear
と綴って
続きを
君の名前が
綴れない 痙攣する
記号化とは 死だ!

屍など溶けてしまえ

Dear
Dear
の続きを
舌の奥で捕らえ直し
呑み込んで
幽閉する 君を

再生するまで
声帯から胃袋までの距離に

Reverse
Reverse
伝ってゆく
自転の曲線にそって
Dear な君を
朝へとなぞる
そぉっと だが
確かに




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詩の学校(上田暇奈代さん主催)@京都芸術センターにて即興書き、朗読
若干改稿後KSWSなどで朗読


自由詩 手紙 Copyright 窪ワタル 2005-12-24 10:37:00
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