自分だけ地震 〈完成版〉
半知半能

この間から
ヘッドフォンで括った僕の世界は
なんだかひどく不安定で
1日1回 
揺れる
大体震度2ほどの
初期微動

あれ
今揺れませんでしたか
                     いいえ


揺れたと思うと
その真偽を確かめるべく
電灯から吊るされた一本の白い紐を見る
ぴくりとも動かないそれの奥には
一体の着物をまとった紙人形
何も描かれないその真白い顔と
ふと
視線があってしまったように感じては
妙な気まずさを覚える

揺れてるのは僕だけなんだってさぁ

ただ
どこかで
誰かが僕を呼んでいるような気分
短い電信をキャッチして
僕の心が揺れる
そんな
夢だったろうか

一日一回きりの大きな鼓動が
今日も僕に生きろと
言っている
自分だけという
自覚が
必要である



自由詩 自分だけ地震 〈完成版〉 Copyright 半知半能 2005-12-23 16:58:17
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