わたしの終わりのわたしの
いとう

それでも朝は来るので
わたしはまた生まれてしまう
約束されていないことなので
途方に暮れている

わたしは手を持たないので
仕方なく
眺めている
ふりをしてみる
鳥の不思議な動きを少し
まねてみたりする

小さな声が
ときおり通り過ぎる
けれども掴めないので
それはないに等しい
空を見上げると
いつも曇っていて
声は
すり抜けながら
どこか見えない場所へ
消えていくようだ

夕暮れが近づくと
硬質な空気が流れ込んでくる
わたしは少し警戒するが
すぐに気づいてしまう
約束されていない
その
意味のないことに

うつむいて
目を閉じると
途方に暮れながら
夜がやってくる
生きているよと
口ずさんでみるが
呪いしか
生まれない
それもまた
意味のないこと

泣こうと思うが
泣き方を知らない
夜なので
もう誰もいない



自由詩 わたしの終わりのわたしの Copyright いとう 2005-12-14 23:32:53
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