凍れる河
落合朱美
空は啼いているのだろう
風は狂いはじめている
雪の華はその美形を
とどめることも叶わずに
ただ白い塊と成り果てる
清き水の流れさえも
怒涛に変えて
白鳥は真白の吹雪に身を委ね
風の晴れ間に空を仰ぐ
束の間の空の蒼が映った瞳は
遥か北の彼方に在る
シベリアという故郷を偲ぶのか
それとも未だ見たこともない
常夏の国に想いを馳せるのか
遠い目をして
やがてまた空は低く唸り
白鳥は再びうつむいて
命の糧を啄ばみはじめる
凍れる河の岸辺で
自由詩
凍れる河
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落合朱美
2005-12-11 01:20:03縦