輪郭だけが残っている
嘉村奈緒

     どこから。


     
     ひやりとしている土の上で生きている梢の揺れる(揺れる)末端に刺さる光、が








        わたしの温い肌に染む指の人は語る
        語りすぎた人であるあなたが退室すると
        わたしは乱雑とした言葉のなかで一人になる
        歩くたびに惑ったり舐めたりするので落ち着かない
        瞼を落とす
        パタンという音がして部屋は沈んでいく
        一人になる
        影の中にいる
        しばらくして体がリ・・・と揺れる
        渦にのみこまれても
        瞼の奥は光でみちている









        林道を歩く 裸足のままで 足の裏に赤茶けた
        葉がつく するりとした音の中を行く 周りを
        見渡す 渦の中心に いる (揺れる) 言葉
        が落ちる 音 それから梢の渦 ひやりとした 
        土の上で 生きている わたしの
        わたしからの


        光、











        (パタン、という音)











        ・・・・・・











        部屋にいる
        鍵穴からあなたの背中を見送る
        指の痕を行く
        そうやって


           瞼の奥で(リ・・・、と)
           わたしと
           光、が揺れて







自由詩 輪郭だけが残っている Copyright 嘉村奈緒 2004-01-18 18:03:11
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