輪郭だけが残っている
嘉村奈緒
どこから。
ひやりとしている土の上で生きている梢の揺れる(揺れる)末端に刺さる光、が
わたしの温い肌に染む指の人は語る
語りすぎた人であるあなたが退室すると
わたしは乱雑とした言葉のなかで一人になる
歩くたびに惑ったり舐めたりするので落ち着かない
瞼を落とす
パタンという音がして部屋は沈んでいく
一人になる
影の中にいる
しばらくして体がリ・・・と揺れる
渦にのみこまれても
瞼の奥は光でみちている
林道を歩く 裸足のままで 足の裏に赤茶けた
葉がつく するりとした音の中を行く 周りを
見渡す 渦の中心に いる (揺れる) 言葉
が落ちる 音 それから梢の渦 ひやりとした
土の上で 生きている わたしの
わたしからの
光、
(パタン、という音)
・・・・・・
部屋にいる
鍵穴からあなたの背中を見送る
指の痕を行く
そうやって
瞼の奥で(リ・・・、と)
わたしと
光、が揺れて