手毬唄
恋月 ぴの

夢から紡いだ淡い期待を束ね
双の棒針で器用に操る
操る毎に淡い期待は確かな予兆に変わり
なまめかしく揺らめいて
蠢いて
少女は艶やかな女人となる


月の満ち欠けを赤い細布で数え
確かな予兆は五色の手毬
弾み
弾みだして
内へ内へと傾いていた想いの切っ先は
抉り出す不揃いな愛と欲との枡くずし


背丈ほどの柄杓で汲み上げた糖蜜を
襟足から胸元にとろり
滴り落としては上顎と下顎の裂け目より
ちらり覗かせる
赤い細布で山蚕をねぶり


弾む手毬は一人遊び
胸に抱いた手毬を奈落に転がし
口ずさむ手毬唄の一節
満たされぬ
満たされぬまま花一輪の茎を折る


自由詩 手毬唄 Copyright 恋月 ぴの 2005-12-09 06:18:23
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