通り道
石川和広

兆し
まだ何のためか
なんであるか
わからないまま
僕は
昼間泳いでいる

つかんだ波
はなさないために
好きでいられるように
とつとつと
祈る

笑うひと
奪う波
死にゆく影
つかまえようとして
あぶくだけ浮かんだ



から
さしこむ
短いひかり

僕は泳ぐ
危ない目に
会いたくない

身を固くとざしている
開かれた水面に

ありがとうが
なんで言えないんだろう

何度もつまずいて
水の抵抗をつかまえて
わがままと
つぶやく声
危なくなりつつある通り道

こんなことで
世の中の溝を
こえられるだろうか

あせらずに
みんな泳ぐかな

僕は泳ぎつづけられるかな。


自由詩 通り道 Copyright 石川和広 2005-12-08 14:54:48
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