安らかな秋
チアーヌ

ガマの穂が天に向かい綿に覆われて立っている
安らかな秋
まるで別世界のことのように
自分のことを思う
帰りたいと願う
時間を戻してくれと願う
叶わない願い
わたしの歩く道から
ガマの穂の群れはこんなに良く見えて
一歩踏み出せば
入れそうだ
わたしはある日
入ってしまうかもしれない
ひとあし
ひとあし
踏み込んで
二度と戻れない
湿地帯の中
沈み込んでしまうのかもしれない
そしてそれは
案外幸せなのかもしれない
安らかな冬が
来る前に


自由詩 安らかな秋 Copyright チアーヌ 2005-12-07 23:39:45
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