*道化者の小唄*
かおる

あたしはまちの人気者
運動会には引っ張りだこで
野良達の羨望のまなざしに囲まれる
気のいい、やおやのおいちゃんや
魚屋のあんちゃんから余り物の貢ぎ物
喰いっぱぐれる心配は無い

オリンピック競技の陸上の花形強化選手に
逆立ちしても選ばれる見込みは
やっぱり、何処を探しても見つかりそうもない

あたしとうたの間には深くて長い溝がある

パン喰い競争ではダントツを
いつも突っ走ってきたけれど
ハードルを飛ぶように
そのヒトマタギができやしない
その前に佇んで小石のような言の葉を散らし
果てない遥か遠くの音に耳を傾ける
底は見えない

あちらから天使のうたが
雨霰と降ってきて
大きな河の流れができたとき
泳ぎ渡れるように
トライアスロンを趣味にすべきだったかも
あぁ、そういえばカナヅチだったな

背中がむずがゆくなると
嬉々として鏡に映してみても
見つかるのは虫さされ位で
羽が生えてきそうな気配もない

夜になると
戦利品のクリームパンをほおばりながら
満月には哀しき遠吠えが
星降る夜には切ない願い事を祈るうたが
風に乗ってむなしく谷を渡る
こだまが聴こえてくるばかり

Twinkle, twinkle little star
So I'll know where you are
Glimmering in the skies above
Lead me to the land I dreamed of


Peter PanのLyric 「The second star to the right」から



自由詩 *道化者の小唄* Copyright かおる 2005-12-01 17:18:49
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