飛行機雲が
半知半能

飛行機雲が伸びていきます
大きな空を見上げて 残した軌跡に追い越されぬよう
空気を切って伸びていきます
はじまりはいつだったか
忘れられた原点が 今は水蒸気の一粒となり
尾の端から融けていきます

飛行機雲が伸びていきます
団塊の大雲からともがらに別れを告げ
成層圏の刺す冷たさを突きすすみます
いつか大気のどこかで一つになることを信じる
友よ 私の道が見えますか

飛行機雲が

大きな風 伸びる雲
周りが冷たいからこそ 出来ていく白さはより映えて
照る太陽 伸びる雲
そこには何ものも 隔たりはなく
ただ確かめられたつながりがあり

伸びていきます

雲を見上げる人々は
ある人は暖かく
あるいは寂しげに
その前途の正しいことを祈り
ハンケチを振る
一本の飛行機雲が
あの人の
この人の
思いを背に乗せてさらに 伸びていきます

ただ
すすむ先には青い広がりだけが
すすむ先には期待と恐れだけが

飛行機雲が伸びていきます
はじまりはいつだったか
それは遠い昔の際の空
真っ直ぐと貫く白い道
終着にはまだ 早いよう


自由詩 飛行機雲が Copyright 半知半能 2005-11-27 15:25:49
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