ロリポップ
虹村 凌

俺は世界が平和になればいいと思っている
実際にはならないだろうけれど、そう思う
黒も白も朝鮮もクソも味噌も、
俺はみんな仲良く出来ればいいと思っている
実際には出来ないだろうけれど、そう思う

矛盾を抱えながらも、何とかやってる
もう死にたいとは思わない
俺が自分自身に潰されない方法も少しは判る
仮面の被り方も外し方も少しは判っている
ギリギリの低空飛行じゃない飛び方も判る

死にたい奴は死ねばいい
手首を切り刻みたいのなら、いっそ切り落とせばいい
創造の為と言いながら、打ったり吸ったりするなら、
一生そうしてればいい

ただ俺は、そんな世の中でも
平和になればいいと思っている自分を知った
世界中で流れる毎日のニュースが
○○国××県**市で子供が生まれたよ
なんて言うニュースや
何処の国の誰が何処かの国のウマの骨と結婚したよ
そんなニュースで埋め尽くされればいい
飯喰って歌って騒いで飲んで暮らす
夢のような日々になればいい

人間が人間であり続ける限り
争い事なんて絶えないのだろう喧嘩だってすればいい
大臣同士で殴りあいの喧嘩をしてから話し合えばいい
もっと平和な世界になればいいのに

なのに俺は何で意地を張っているんだ?
白がどうの黒がどうの朝鮮がどうの支那がどうの
俺がどうのお前がどうの彼がどうの彼女がどうの
つまんねー意地張ってる暇あったら
何か本のひとつでも読めばよかったんだ

平和にはならないだろうけれど
平和になればいいと思えるようになった
世界なんてどうでも良かったし
世界なんて関係ないと思ってたんだ

わかってる
世界の前に日本を
その前に東京を
その前に目黒を
その前に中根を
どうにかしなきゃならない
世界は俺の仕事じゃない
例え俺の命を救ってくれたとしても
わかってる
俺の仕事じゃないんだ

俺に出来る事はただひとつ
少しづつ話して輪を広めて
少しづつ書いて輪を広めて
丸腰で立ち向かう奴等を集める事なんだ
何時か全ての武器を博物館に収めたいと思うような
そんな奴等を集める事なんだ

神なんて信じちゃいないけれど
世界が平和になったらいいと思う


自由詩 ロリポップ Copyright 虹村 凌 2005-11-23 08:50:09縦
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