フリマ
たもつ



フリマの一番隅の方で
いなくなったままの父が
お店を出していた
犬がいっしょにいた
名前をペロといった
父が好んでつけそうな名だった
お店には小さな靴が一足
子供のころ私が履いていたものだ
私が買ってあげた
父は小さく礼を言い
両手を広げると
秋の高い空へ飛んでいった
あんなに楽しそうにしている父を
私は初めて見た気がする
ペロも楽しそうに後を追った




自由詩 フリマ Copyright たもつ 2005-11-10 08:39:40縦
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