夢の続き
落合朱美


夕暮れのバス停で
バスを何本も見送りながら
いつまでも尽きない話をしていた

木枯らしに吹かれて
君が吐き出す白い息が
ダイヤモンドダストに見えた

教室も図書館も
僕らはけして嫌いではなかったし
どちらかといえば従順な生徒だった

けれど何かが足りない気がして
そんな隙間を埋めたくて
たくさんの本を読んでは
口々に夢を語り合っていたね
 

ねえ、あの頃話した夢たちを
僕らは掴むことが出来たのだろうか

問いかけたら君は
さあね、と曖昧にうつむいて
煙草を揉み消す

日々の煩わしい出来事だけが
心を占めて
君が苛立っているのがわかる


こんな夜はグラスを置いて
外に出て歩かないか
冬の空気は冷たいけれど
心にマッチの火が灯るような
そんな話をしようじゃないか

あの頃のように
君の唇から零れる
ダイヤモンドダストを見せてほしい

冬枯れの木立に
言葉のイルミネーションを飾って
そうして僕らの
尽きない夢の続きを話そう





自由詩 夢の続き Copyright 落合朱美 2005-11-01 02:09:01
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