切断
石川和広

                   
切り裂いた
青空が
くちづけをと
ささやいた

何という時間の移行
せつなの青の破壊
風がひんやりとしている
流れがひずみながら
人のかたちが通る
その中を
くちづけをと
ささやいた

わたしとあなたは遠くて
坂傾きながら
少し悲しい
おちこんでいく町に
わたしはひとり
青空のささやきをキイテイル

くちづけを
何に?
問いを浮かばせる空
肉に
あなたの
うつくしい月は砕ける

さまざまな声 色めき達
電波 発する人の人というものの
その間を
潜り抜け
あなたは働いている
わたしは歩いている
せいいっぱい
せいいっぱい

こわしたくなる
くちびる
そもそも壊れている
発声とその受信

風にキクシカナイ
ああ青いエーテルの片言

くちづけを

ぼくらは聞いているはずだ
それぞれの妄想という
わたしの妄想
距離で

好きだ
そんなもんじゃない
ヒカラビタうめぼし

人々
の中を歩く足音
がらんどう
重く

くちづけを
届く
届かない
どっち
どうでもいい
やわらかい耳を感じられれば

切り裂いた
青空が
くちづけをと
ささやいた








2005.10.31


自由詩 切断 Copyright 石川和広 2005-10-31 17:25:50
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