Rainy Rain
落合朱美


目醒めたのはたぶん
明けがた
蒼暗い部屋でぼんやりと
遠くに音色を聴いていた

やがて明らかになる
意識の中で
ああ、雨が
雨が歌っているのだと


あの人のぬくもりは
もう欠けらも残っていなかった
私の胸にも首筋にも
僅かな跡さえ残してはくれなかった

けれど甘い夢を見ていた
夜じゅうあの人に身体を預けて
戯れたり抱きしめたり
すこし泣いたりした夢


私を抱いていたのは
優しい雨音
夢心地に聴いていたのは
哀しい歌声

こんな朝はきっと太陽も昇らない

だからもう少しだけ

もう少しだけ このまま







自由詩 Rainy Rain Copyright 落合朱美 2005-10-29 22:55:25縦
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