恋虫
石川和広



与えられた運命のがっちりつなぎあわせられた糸
ほどこうともがくぼくは

一匹の昆虫としてもぞもぞと眠るだけ

何かしなきゃってわかってる
信じようとしている運命を
それが正しい道なのか確かめるように恋をしている
それが運命なら

その女は変態をくりかえしつづけている
殻を食い破り卵が割れた夢をみる

ぼくは静かに目をつぶり 白昼夢の中で暗やみをまさぐる

生きている理由はなく
ご利用契約があるから
尽くせこの運命を

その女は白い肌をしている
妖精を信じている
孤独なのかもしれない満たされる中で
危険な兆候だ
そして働いている
巣穴に戻るために
そこで幸せに暮らすために
ぼくからは遠いところで

ぼくは静かに目をつぶり白昼夢の中で
暗やみをまさぐる恋虫

つながろうとしてつながれずに
帰ってこないっメールを撃ちつづけ
女と暗やみを飛ぶことをねがっている


丸められた紙のようなひだに手をさしのべてみたい
言葉のない言葉をさしだしてみたい
拒むだろう

拒むのだろうか


自由詩 恋虫 Copyright 石川和広 2005-10-24 14:18:08縦
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