アンサンブルの証明
A道化








秋に
葉と葉が
まだ生き合っている
その音が、して
その影と影が、あって
その匂いまでが、生じていて


生じては離れてしまうそれらが
見つめ合っているとすれば、そのこと
それを知りたくて
それを浴びたくて
その一部になりたくて
けれどもわたしはそのどこにもいない
ここにしかいなくて、そのことを
知ってゆくんだ
浴びてゆくんだ、ね


悲しみやすい
この、アスファルトのわたしと
落ちやすい葉と葉の落ち合う音と
葉と葉から前もって落ちている影と影と
そしてその影と影へ落ちてゆく
葉と葉は


ねえ、ひとつになれるかな?
証拠が揃って証明が完成されてゆくような
そんな気がして
葉や、その音やその影やその匂いや
このわたしが
ひとつに、完璧に
一致してゆく、ような


ああ
けれど秋だ
どこもかしこも肌寒い独りだ、と
揃ってゆく証拠だ、完成してゆく証明だ
そのことを
知ってゆくんだ
浴びてゆくんだ、ね


2005.10.23.


自由詩 アンサンブルの証明 Copyright A道化 2005-10-23 08:39:07
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