煩う恋
落合朱美
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた
雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている
物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた
栞を
挿むことを忘れたので
もう二度と読み返せない
唇を噛んで
宙を睨むような恋は
まっぴらだと思うのに
気付けばいつも
おなじ痛みを躰に刻んで
恍惚としている
自由詩
煩う恋
Copyright
落合朱美
2005-10-15 17:18:07
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