花の名に (RT会議室より)
嘉野千尋

  季節はすっかり秋めいて
  あちらこちらに金木犀の香りが広がっています
  けれどもわたくし、
  銀木犀に、未だ出会ったことがございません
  銀木犀、銀木犀
  あなたはどこで咲いていますか? 
  金木犀の香りにまぎれてひっそりと?


  あなたが探しているのは金木犀ですか、
  それとも銀木犀ですか?
  いいえ、私の探しているのは、鉄木犀です
  正直な娘よ、これをあげましょう、
  木星です(ちょっと巨大だけど…)


  星の形をした小さな花たち
  そのひとつひとつが木星ですか?
  はい、木星です
  ところどころにイオやガニメデたちもまじっております


  あなたは宵と明け方にしか逢えぬ金星ですか?
  それともいつも見てくれている月ですか?
  いいえ、わたしは、宇宙コスモスです


  あなたは小さな宇宙ですか
  それとも大きな宇宙ですか?
  いいえ、わたしは一輪の花
  そしてわたしの中に太陽があり、月がある


  花の一片ひとひら、その上に
  秋の夜空は広がって
  漂う香りのその先に
  求める答えがあるでしょう
  

  花の名に、星の面影


  あなたはどこで、咲いていますか?

  



※ こちらは十月五日深夜のRT会議室Aのログに加筆修正したもので、
  第ニ連、四連はクリさんが書かれています。
  追記http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=51659もどうぞ


自由詩 花の名に (RT会議室より) Copyright 嘉野千尋 2005-10-06 17:53:38
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