二足の秋
吉岡孝次

余計な毒が流れて
そんな上を空がひろがる

からだを起こせば
眼下には枯れかけた草に覆われた河川敷が
こう
何て言うか
紅葉狩りなんて別にいいよな、
てな具合に
自生していて

水の走る音?と訝しがる耳は
目の助けを借りて
二隻めのモーターボートに得心して得心する

僕は今ここにいる
普段からすればかなり遠くまでの視界 を
理由抜きで楽しめた漕艇場を背にする前
櫂の動力になめらかな美しさを差し込まれた後
アスファルトを延べた堤防を渡り
傾いた芝生に腰を下ろして
この人生の右手の方角に
薄曇りにも明るい日の光を知る


自由詩 二足の秋 Copyright 吉岡孝次 2005-09-27 21:52:45
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