駅までの道
チアーヌ

気がついたら明るくて
「しまった」と
後悔した土曜日の朝
昨夜はあんなに寂しがっていたのに
男は嘘のようにあっさりと眠っていて
寂しかったのはわたしだって同じだけど
一人で目覚めると
少し騙された気分
もちろん
自分が不覚だっただけだって
わかってはいるけれど
夜には雰囲気良かったのに
朝になったら興ざめなくらいに散らかった
ただの汚い部屋
デリバリーピザの残骸にせめて蓋をして
眠ったままの男を置いて
外に出ると太陽が目に沁みて
階段を下りてアパートのゴミ置き場を通り過ぎ
犬の散歩をしているおじさんに駅までの道を訊く
途中の道端にあった自動販売機で
ミネラルウォーターを買う
ごっくん
ごっくん
水がおいしい
太陽の光と水分を補給して
わたしは
一足一足
元の自分に戻って行く
そうだよな
寂しかったのも
誰でも良かったのも
わたしだって同じなんだ







自由詩 駅までの道 Copyright チアーヌ 2005-09-27 16:34:38
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