釣り人
たもつ



悲しいと言って
君が釣り糸に噛み付くから
僕はまた一つ疑似餌をつける

ショップに並べられた僕らの履歴書は
いつも濡れていて
釣り上げてしまったものを未来と呼んでも
誰も咎めはしない

二人して川面に待機している電車に乗ったのは
君の悲しみが本物になりそうだから

釣り竿だけが許された切符
窓を全開にして
二度と会えない人の名を何度も叫ぼう
僕らの成長は痛くて
まだ始まったばかりだ




自由詩 釣り人 Copyright たもつ 2005-09-22 08:49:30縦
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