バス停にて
銀猫


赤錆の目立つ時刻表のバス停に立ち
来るか来ないかの
微妙な時刻にバスを待ってみた


進路の前にバスは無い
順路の後ろに気配も無い


行く先も馴染みの無い駅の
名前の書かれたその標識には
勿論閑散と予定の時刻が記してあるが
それもあってない口約束のようなもの


雨が降ればきっと傘をたたむ分だけ遅れ
晴れていれば
だらだらした乗客の
歩調の分だけまた遅れる



果たしてこの行き先不安なバスを待って良いのやら



誰のせいにも出来ないよ、と
妙に冷静な耳打ちが聞こえる



今にも堪えきれずに零れそうな雨と
少しばっかりの理由なき焦りと
そういう憂鬱で形成された時間を
自虐のように弄んでは
悲劇の主人公を気取りながら
実は楽しんでいるのだ



もう一度
振り返る

もう一度
期待してみる



ああ、バス


来た。





自由詩 バス停にて Copyright 銀猫 2005-09-21 14:52:11縦
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