君の声が
炭本 樹宏

 ずっと以前から
 僕はまわり続けている

 君の鮮やかで艶やかな声が呼びかけてきて
 今も僕は 操り人形

 フラフラ 街を泳ぎながら
 君と似た声を 聞くと 振り返ってしまうよ

 再会を 望んでも あの季節は戻ってこない

 春は桜の木の下で寝転がって見る 舞い散る花びらはパラダイス色だったね
 
 ギラギラの夏の海岸で戯れて 太陽と抱き合ったね
 
 癒しの秋風に身をまかせて ふたりで 口笛を吹いたね

 凍える冬は 街角で 温もりを求めあったね


 きみが僕の目の前から 去ってから

 季節は 色あせて

 涙のペンで ひとり 想いをつづったよ

 胸に空いた風穴に夜風が通りぬけて 眠れぬ夜が辛かった

 身を切られる孤独は ひたすら愛を渇望した

 回り続けて 僕は信じるものを失ってしまった

 ころころ転がり ボロボロになった

 
 想いは この色あせた季節のなかで

 虚しく くるくる 回り続けてるよ
 
 望みが叶うなら もう一度 君の声が聞きたい


 
 

 

  


自由詩 君の声が Copyright 炭本 樹宏 2005-09-20 06:02:55
notebook Home 戻る