「完璧な朝」(みんなのうた)
虹村 凌

ゆるり
と転がる風に目を覚ます
取り立てて早起きでもない
かと言って寝坊でもない時間に
目覚ましなんて煩わしいモノを使わずに
自然と目を覚ます

窓から差し込む光は部屋を照らすのみで
この体を照らす事は無い

寝起きの体には
シーツとブランケットがひっついていて
そいつをひっぺがしながら上半身だけ起こす
水を少しだけ飲んで
ついでに煙草を呑む
そうしながら昨夜の事に思いを巡らせる
隣には美しい女性が寝ている
短くても綺麗な輝きを放つ髪の毛を撫でながら
煙草の煙を吐き出し続ける
あたりにはちょっとした街の音

半分だけ煙草を吸ったら
灰皿で消す
美しい髪の毛に口付けてから
そっとベッドを抜け出る

珈琲を飲みながらベランダに出る
二本目の煙草に火をつけて
遠く遠くを眺めている
後ろから柔らかく抱きつかれる
そろそろ今日の一回戦目の始まりだ
柔らかい手が硬さを増させる
愛で鼓動が早くなる
思わず落とした珈琲カップが
しばらくの間の静寂の後

ガシャン

と鳴る
その頃既に
愛で鼓動は限界を超えようとしていた
ドクンドクン



遠くの方では東京タワーが一定のリズムで脈打っているのをみながら果てる


自由詩 「完璧な朝」(みんなのうた) Copyright 虹村 凌 2005-09-19 10:59:42
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