あいしてる 改札 わかれみち
容子

わかれみち夕陽が君を支配する今日ほど夕陽を妬んだ日はない

落胆と転がる小石と空の雲蟻の巣すずめ手をつなぐ最後

焼け爛れ燃えゆく西日吸い込めばわたしに残る君は焦げるか

ままごとの続きとはいかぬ恋人という名の役を脱いだのだから

はぐれぬと掴み続けたシャツの裾一年余りの時間の染み跡

流れ雲二人の隙間に一片の形保てぬ想いがひらり

戯れぬことばとことばすれ違い駅前交差点にて塵と化す

さよならと二度とは逢えぬ君を背にJR大宮駅の改札を抜ける

駆け込み乗車ホームに駆け寄る君の幻白線越えれず

あいしてる「あ」から始めた二人には最後にわかれ「わ」「を」「ん」幕降りる




短歌 あいしてる 改札 わかれみち Copyright 容子 2005-09-16 21:04:32
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