胃袋の秋
tonpekep

炊飯する
ごはんはきっと海苔で巻かれたい

秋刀魚焼いてみる
秋はその辺りでちりじり色つきはじめる

お米は海を知らない
秋刀魚は畝を知らない
けれどもぼくは知っている

そこでぼくは海について畝について
お米と秋刀魚にそれぞれ話しかけたんだ

ただ
季節の重なり続けたかれらの身の
美味しいことは話さなかった

やがて静かに
それぞれの
身に醤油をたらす

胃袋は切なく啼いたかと思うと
秋の訪れをまちかねていた


自由詩 胃袋の秋 Copyright tonpekep 2005-09-16 20:08:29
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