チムニー
嘉村奈緒

   少女達は


    マグマのように


     やっぱりキレるのかしらね


      ヒラヒラと白陶器のような指を燃やしながら


       美しいアチチュード


      あすこの文鳥が気に食わないの


     豆苗が枯れてしまったの


    なんてとても単純な理由で


     赤い姿勢は


      いくつもの陽炎を引き連れて


     奥さん


    ねえ、奥さん


   あれ火山よ


    マグマなのよ


     つぶてが男に穴を開ける


      壮大な破壊力で


       地を飛ぶアチチュード


        色恋に狂うと更に美しいアチチュード


       木偶の坊ねと少女達は笑う


      ごきげんようと言う


     猛々しく表情筋を動かして


    少女達はとても赤い


   男は溶けながら


    繊細な指先をずっと見てる














    溶けながら

    見てる

    貪欲に飲み込んで

    赤く赤く

    地面を這うと

    煤けて

    黒く

    ばったばったと

    なぎ倒し進む

    それでも

    美しい

    少女達は

    美しい

    マグマ












  「 膨大な灰が空を舞うと
    天気が崩れる
    ごきげんよう
    奥さん
    今日は雨が降るそうだけど
    そのマスクは
    立体的すぎて
    私は何だか好きでありません。 」









 


自由詩 チムニー Copyright 嘉村奈緒 2005-09-15 19:26:51
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