骨
石川和広
戦争ということばは
ことばでしかないような
そんなおじいちゃんの傷跡は
僕が
大学をでるころ
白と灰のまじった骨になって
それをみたぼくは
その前に
においがきたのだ
骨が炎で焼かれたにおい
あのとき火葬場の裏山をみた
もんたーじゅな風景
黒くしゃべらない僕たち
昨日選挙だった
誰もえらべない
議会制民主主義のこわさは
大学で学んだまま
本当だったんだな
静かだったおじいちゃんと
死ぬ前
夜の電車で
向かい合って
おじいちゃんは
自分にいい聞かすように
言った
云うことはいわななと
云うこといえてるか?
という前に
なんか喉がひっかかってしようがない