石川和広

戦争ということばは
ことばでしかないような
そんなおじいちゃんの傷跡は
僕が
大学をでるころ
白と灰のまじった骨になって
それをみたぼくは
その前に
においがきたのだ
骨が炎で焼かれたにおい
あのとき火葬場の裏山をみた
もんたーじゅな風景
黒くしゃべらない僕たち

昨日選挙だった
誰もえらべない
議会制民主主義のこわさは
大学で学んだまま
本当だったんだな

静かだったおじいちゃんと
死ぬ前
夜の電車で
向かい合って
おじいちゃんは
自分にいい聞かすように
言った

云うことはいわななと

云うこといえてるか?
という前に
なんか喉がひっかかってしようがない


自由詩Copyright 石川和広 2005-09-12 19:04:35
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