こんなものを書いてきた 03
Monk


つらい、つらいです。この文章をですます調で書き始めてしまった
ことがつらいです。
第四集「必要のない寓話」は徐々に僕の好みが占める面積が増えて
ます。少しやらしいことも書き始めてます。「そういうこと(セッ
クスに関連すること)は書かない人だと思った」と面と向かって言
われた(ダメ出しされた)こともあるのですが、これはかるーく傷つ
くような、少しくすぐったいような、母上に「布団の下の本、机の
上に置いといたから」と告げられたときのような、夜中に部屋のド
アをコンコンと叩く音がして開けてみるとそこには大きめの枕を抱
えた妹がうつむいて立っていたときのような!(妹がいないのでわ
かりませんが!)ともかく、いつまでも夢見る少女じゃいられない
ですから、こうガバッとね、公園あたりでガバッと、もしくはカ
プッとね。えー、限度というものはわきまえる必要があります。で
もけっこうみんなそういうのも好きですよ、ね、ね(暗示に乗るこ
とも時には重要です)。

「巡回水槽」(フォーラム)という作品は葛西臨海公園の水族館のこ
とを書いてます。あそこの名物マグロ水槽で当時の彼女と2時間く
らい床に座ってボーッとしてたことを思い出します。「東山動物園
初〜(なげータイトル)」も同様、東山動物園行って、通天閣通って
帰ったときのことですな。こういう実際の出来事とリンクしてるの
は非常にめずらしいです。たぶんこれくらいしかないです。けっこ
うね、ベタな方法で彼女を喜ばせようとしてたってことですね、や
れやれですよ、僕も若かったようですね、あはは。今でも同じよう
なことをしている気がするのはきっと気のせいです。

「必要のない寓話」の中で好きなのは「バスト」です。これは書き
直しました。初稿はスーツの女が赤いスポーツカーでウィンクを投
げながら走り去っていくという普通の終わり方でしたが、つまらな
いので好きなように書き直しました。こういうたたみかけが好きで
す。一応、カフカの「審判」とか安部公房の「壁」を思い出しなが
ら、その上澄みだけひょいとすくったような作品なんですけどね。
「毎日の小犬」はタイトルが好きです。ぜひ女性にリーディングし
てほしい(倍角)。男性は却下です。自分で読もうとしましたが最初
の二行で自らの頬をグーで殴りたくなりました。
「loop」みたいなものをもっと書こうと思ってたんですが、やはり
難しいですな。「loop」は簡単なJavaScriptなんですがプログラミ
ングの詩あそびです。i=私であり、yours=あなた、という関数に
よって私は変わってゆく。しかしここではyours関数は私をそのま
まreturnするだけで、私は私のままです。つまりwhileで括られて
いるループは永遠に抜け出せません。私はあなたによって変えても
らえることを期待しているのにその期待は完全に裏切られていると
いうことでもあり、どうか私を変えてくれという願望でもあります。
yours関数内のコメントに挟まれたところにあなたの方法を書いて
ほしいという。と解説するとまぁまぁ意味があっておもしろいかな
と思うんですけどね。本当はさらにオブジェクト指向に発展させた
かったりします。クラスの継承とかインターフェースの実装とか変
数のスコープとか、けっこう詩的ですけどね。

 * * *

この後、僕はあまり書かなくなります。飽きました。詩を書くこと
に飽きたのではなくて、自分に飽きました。何か書こうとしたとき
に、いかにも自分が書きそうなことを思いついて、それを書いて、
まぁ体よく収まってチャンチャンみたいな末路のようなものが見え
てしまうので、出来上がったモノを読むと「またこんなんかよ」と
思ってしまいます。そろそろ周りの人々も飽きてくるんじゃないか
なぁと思い始めました。僕は「へたくそ」とか「意味わからん」と
か「こんなの詩じゃない」と言われるのは全然かまわないのですが、
「ああ、やっぱりね」とか「そうくると思った」と言われるのがす
ごく怖い。イヤ、イヤァァァです。これが自分の中で起こってしま
うので、こりゃしばらくヤメだなぁと思ったわけですね。

そしてこの頃にゴソゴソ書いてたのが「おはなし」(フォーラム)や
「君に宛てて」(フォーラム)です。暇なときにこういう一行詩っぽ
いのを書いてました。電車に乗ってぼーっとしてるときとか歯を
ぼーっと磨いているときとかつまらない会議でぼーっとしていると
きに考えて日記なんかに書いてました。こういうのはすぐ読めて、
すぐポイッと出来そうでいいですね。このお手軽使い捨て感がたま
らないです。書くのもいろいろ混ぜて書けるので飽きなくて済むし。
「君に宛てて」は別に詩として書いたものじゃないので未詩にして
あるんですが、せっかくなのでまとめてフォーラムに投稿しました。
ちっとはおもしろいかなぁと。あと「萌えー」とか。萌えますかね?
実際にいたらイラつきそうですが、そこを「萌えー」と、ある種の
寛容さ、男としての器の広さが試される作品となっています。今考
えました。
この中に実話はほとんどないです。ゼビウスは実話ですが、ほとん
ど想像です。想像するときに当てはめてた女性の方々はいますが皆
さん聡明な方々なので実際にはいたちの着ぐるみをかぶったりしま
せん。文庫本にスライスハムを挟んだりもしません。モランボンの
人にはこの文章が読まれないようにお祈りしています。


つづく


散文(批評随筆小説等) こんなものを書いてきた 03 Copyright Monk 2005-09-11 21:44:36
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