そのような目で見ないでください
千波 一也

ライオンさんのやる気が
ゼロでしたので

わたしは舌打ちをしました


タイガーさまも同様でした
残念でした


同じくネコ科のクロヒョウくんは
動いていました

しかしながら

その目は
とても虚ろでしたし
檻の中を
行ったり来たりしていただけです

わたしは憐れみを感じました



反面、
アザラシたちは機敏でした

あなたたちには
寧ろ
ダラケていて欲しかったのが
本音です

その、
はち切れそうな太鼓腹を
ペシペシと
叩いていて欲しかったのです
でも、
スイスイと泳ぎまわる御姿に
不覚ながらも
魅入ってしまいました

少しくらい
顔だけ出して浮いて下さっても宜しかったのに



ところで、
ヤギとヒツジの
区別がつきません、相変わらず

ただ、
両者とも
日陰を占領する気質をお持ちであることは知りました

憩いの時間を
こよなく愛しておられるのですね
近づくわたしを見つめた
その
細い目が
少し怖かったです



エゾシカについては
秋にもなれば
国道沿いにて会えるでしょうから
素通りいたしました

暑さとの闘いもあったのです

それでもやはり、
親しき仲にも礼儀あり
ですよね
今更ですが
お詫び申し上げます



直射日光の冴えわたる
真夏の動物園は
人間に不向きな場所だと思いました
なぜなら
わたしの願いが叶わないからです


見たいように
見たいのに
わたしが見たものは全て
わたしだったような気がするのです



わたしを
そのような目で見ないでください



直射日光の冴えわたる
真夏の動物園には
匂いが溢れています



わたしを
そのような目で見ないでください



獣の匂いが溢れています



自由詩 そのような目で見ないでください Copyright 千波 一也 2005-09-11 19:41:59
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