そのまま海
石川和広

こどもみたいに
世界の底
天井がつきぬける
ように書きたいが

不自由な気持ち
気持ちとは無器用なものだから
なかなか
屈折率
もって
言葉はくねっていく

詩らしい詩はもういやだ

殺したい気持ちに
なったことは
最近ない

子どもの頃は
青ざめた
錆び色の残虐模様
かがやいて
とてもてんしんらんまんであった

美しい夜
虫が鳴いているあわれ

もっと
もっと
無器用に書きたい

そのままで
広い海


未詩・独白 そのまま海 Copyright 石川和広 2005-09-08 20:12:50
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