漂流
たもつ


せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう
なんて大げさではないお礼を言われ
食べながら美味しいとか美味しくないとか
ありきたりの話を適当にする
家族の絆とか
そういうご大層なものではなく
僕ら家族三人を世界が放っておいてくれるような
そんな筏を買って帰りたかった




自由詩 漂流 Copyright たもつ 2005-09-06 15:05:45縦
notebook Home 戻る