たもつ



立っているだけで構いませんからと
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやって来ても
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コーナー
よく冷えた清涼飲料水コーナー
(本当に冷たいのか私は知らない)
エロ雑誌のコーナー
エロじゃない雑誌のコーナー
を経て列は店外へと伸びていく
並んでいるお客さんは始終無言で
その様子は
私に何かを期待しているようでもあり
何も期待して無いようでもある
ただ皆一様に同じ目をして
かつて同じ目をした私も
どこかの列に並んでいた気がする
もはや最後尾は見ることができない
列はどこまで伸びているのだろう
そう思うと何だかとても果てしなくて
夕刻まで間があるのに
いつか見た夕暮れのようでもある




自由詩Copyright たもつ 2005-09-03 09:28:45縦
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