クロロフィル曲線
望月 ゆき

あしもとから吸い上げたあしたの記憶が
葉脈をつたって
四肢に達し
やがて、蒸発してゆく


芽生えを待つからだに
クロスする
光合成の日々
涸れているのは喉なんかじゃなく
わたしの中心だった


ヒースの上では
流れ出るものは、すべて
潤い などと呼ばれ
太腿からしたたる
たとえば血液でさえも意味をもつ


ときどき 左の
てのひらにたまった雫のせいで
軸が揺らぐと 夜が
めまいの速度でおそってきて
あしたの記憶ばかりが増えてゆく


そうして また
わたしはそれを吸い上げる


自由詩 クロロフィル曲線 Copyright 望月 ゆき 2005-09-01 10:57:11縦
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