煙草の煙のラブソング
虹村 凌

もうラブソングを歌わなくなって
しばらく経つ
そんな事に気づいたのは
煙草を立て続けに吸って
気持ち悪くなってからだった

恋をすればラブソングを歌い
失恋しれば失恋の歌を書いた
頭の悪い僕は
新しい恋に向けて
「お下がり」のような歌を書いた

埃にまみれたノートを読んで
吐きそうになった事がある
それを思い出して
また吐きそうになったんだ

戦争が起これば反戦歌
俺だって戦争は嫌いだ
だけど戦場も戦争も知らない
無責任な歌は歌えない
(それはオナニー)



コンセントにつながれれば
詩が書けるマシン
そんな物がいつか発売されたら
もう「お下がり」のラブソングは
出てきやしないだろう


煙草の火をもみ消した
灰色の煙が立ち上って
消えた


自由詩 煙草の煙のラブソング Copyright 虹村 凌 2005-08-28 18:30:39
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