ナンノタメダロウ
石川和広

僕は友達が少ない。

いつも思っていることだが、こればっかりは難問だ。さみしい病が襲ってくる。

今日は、彼女が旅行に行ったので実家に帰ってきているのだ。
そんで行動範囲が病気のせいもあってか、もともとなのか、狭い僕は珍しく本屋によったり地元のジャズ喫茶で田村隆一を読みながらコーヒーを飲んだりした。
かなり充実したメニューだった。

医者にはお仕事以前にひとりで過ごせるようになりなさいと言われている段階だ。
これでおわかりのとおり僕は一人が駄目なのだ。普通に一人にすらなれていない時間が多い。別に悩んでてもいいんだけど。

でも友達が少ない。
ジカンガツブセナイ。あやうく頭がからまりそうになる。

というか大失恋とか仕事辞めたとか病気になったりで、人のことを考えることができなくなっていた三年間だった。
と、まとめていいのかも迷う。僕にはカウンセラーがいて、よく話をまとめようとするといわれてしまうからだ。正直痛いところをつかれている。
他のカウンセラーに当たったことはないのでわからないが、僕にはカウンセリングはツボ押しみたいなもんだ。
血のめぐりが悪くなったとこを押すと痛い。でもキク。
僕の場合、ツボは、無理にまとめて自分を安心させようとしてるけど、そのやり方自体無理がきて、きもちが凝っちゃう。

ナニヲヤッテイルノダロウ。

人によって凝りのやりすごしかたはちがうだろう。パチンコやったりとかね。
旅に出ちゃったりとか。旅も案外いい方法でやりたいんだけど金がない。
オマケに僕のカウンセリングは保険がきく。
一時間みっちり自分の話が出来る。そんで千円ちょっと。僕は友達をどうつくっていいかわからんので、そういう時間は大きい。
でも、いいことばかりじゃない。

痛いツボを突かれただけで、あとはノーヒントなのだ。

友達のつくり方も自分の殻の壊し方も教えてくれない。
というかいつも緊張して固まっている。

ナンノタメカワカラナイ。
いっそ開き直って、自分が壊れていることを認められればと今思う。とりつくろってまとめてしまうのだ。

ナンノタメダロウ。
でも二週間たったら忘れている。
いやもう忘れたほうがいいのだ。

このまま時間にまかせるだけだ。

ただ心配したり、忙しかったり、暇だったりする日がくるまでは。


散文(批評随筆小説等) ナンノタメダロウ Copyright 石川和広 2005-08-23 22:42:35
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