名前のない河口
−波眠−
168号線は
暴力的にでも隠したいらしい
川と海の境目を
等間隔でながれる
トンネルライトをカウントしながら
想い描く名前のない河口
対岸ものぞめないみなもに
ぷかぷかと浮かぶ
眼も口も耳もきけない
僕の分身
足を運ぶことなく
真っ先に記憶のザルから
ふるい落とされる
藻も恩も根付かない
とどこおった水底に
混ざるだろう紅い血
溶けるだろう透明な涙
自由詩
名前のない河口
Copyright
−波眠−
2005-08-22 07:21:17