地雷も踏まずにサヨウナラ
虹村 凌

宙を舞い上がる
砂埃と共に
舞い上がる

蝶の様に舞い
何の様に落ちるのだろうか

飛んだ高さが高ければ高い程
落ちた時には酷い事になるだろう
(ジュルダウネス福音書23章13〜15節)

それはカウキスネルテアーデス
彼の日に私は拳を怒らせ
雷のような一撃を与えるだろう
(ラウシュネルベ書15章3〜6節)

舞い上がれ
風と共に
舞い上がる夢を叶え給え

蝶の様に舞い
何の様に墜ちるのか教え給え

世界に国境がある限り
私達は手を繋ぐ事は出来ない
世界に國がある限り
私達は笑って肩を叩き合う事は出来ない
(シュダルガダク幸福書38章33〜38節)

戦争も争いも無い未来は存在しない
私達は神に挑んだばかりに
永遠に争う運命になってしまった
もし再び神に挑んで勝つ事が出来れば
言語も地球も統一されるのだろう
(バルセクンドリアス書9章29〜38節)

蝶の様に舞う中で
最後に見る物は何だろうか
どんな景色なのだろうか
何を恨み
何を羨み
何を悔やみ
何を満たされ
何を笑い
何を憎み
何を考えるのだろうか
どんな音を聞いているのだろうか

もしも私が世界を去る瞬間が来るのだとしたら
その時までには世界がもっとマシな場所であると思えるよう願いたい
もしも私が世界を去る瞬間が来ないのだとしたら
まだ世界は満たされないままで癌細胞は増殖するだろう
私がこの世界を去る前までに君達がこの世を去るのだとしたら
私は憎しみと共に生き続けるだろう
だがしかし
私がこの世を去った時には微笑みと接吻を与えてくれ
私が世界に幸福の羽を撒き散らせよう
(シャルベルヌンク福音書128章19〜85節)

蝶の様に舞い
物体の如き落下の後
私は私を見るだろう







私は私を見るだろう






自由詩 地雷も踏まずにサヨウナラ Copyright 虹村 凌 2005-08-18 20:02:03縦
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