ゆらぎ まひる
木立 悟
蝶紋
蝶紋
低い雷雲
まわされる手にまたたく背
水たまりを避けつづけ
硬い海にたどりつき
水平線の筆跡を追う
沈むもののための雨季を追う
錐揉む視線と滲みの雨
野の向こうの野に降りて
空を見つめる目のなかに
夏のお手玉に増えてゆく
からまる衣を脱ぐように
鳥は草からころがり出て
影が切り取る家の狭間を
飛沫の姿に飛び去ってゆく
生まれたばかりの陽の道を
小さな刃がすぎてゆく
押しのけるもの つなぐもの
光の熱さにひるがえる
自由詩
ゆらぎ まひる
Copyright
木立 悟
2005-08-13 08:23:47