端っこ
チアーヌ

うらやましそうに見ていたら
「じゃあ、少し上げる」
その人は言って
端っこのほうを千切って
ちょっとだけくれた
辺りを見回すと
端っこのほうをもらって
喜んでいる人もいる
わたしは端っこを口に入れ
噛まずに飲み込んだ
そしてまた手を出した
「もっとちょうだい
ぜんぶちょうだい
端っこじゃなくて
真ん中の
おいしいところをちょうだい」
その人は困ったように微笑んだ
わたしは黒いペンキをぶちまけて
家に帰った
そして泣いた


自由詩 端っこ Copyright チアーヌ 2005-08-08 16:39:19
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