黒い靴
虹村 凌

明日もし君が壊れたら俺は君を殺して逃げて最期には野垂れ死ぬでしょうよ
カカトの削れたラバーソールを履いて足を引きずって
顔中の穴と言う穴から体液を垂れ流して泣きながら君の名前を呟くでしょう

そう言うと彼は笑って背を向けて
煙草に火を点けるような動作をした後
ゆっくりと去っていった
彼が履いていた靴は草履だった事に気づいたのは
僕が家に帰ってきてシャワーを浴びている時だった
何故かと言えば
僕はパンツは脱いだのに
何故かラバーソールを履いていたのだから


******

探し物があったのだが忘れてしまった
鞄の中も机の中も探した気がするが
実際の処はどうか忘れてしまった
踊ろうよLADYと呟いてみるが
窓の外で鳩が後尾しているのを見て空しくなった
夢の中なんてロクなもんじゃねぇと思うよ
特にエロい夢なんざ見た日にゃ
空しくて一日中仕事なんかしてらんねぇ気分だよ

んな事を言ってるウチに
探してた燐寸が出てきたりする

******

真っ黒いラバーソールの上に
灰皿からぶち撒けられた茶色い液体
きらり
きらり
と光を放ち
何故か僕は泣いてしまった




自由詩 黒い靴 Copyright 虹村 凌 2005-07-13 22:50:37
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「うにいくら丼」