オシラ
田代深子




プラズマ放電のなか生まれ落ちた

ハイパーコダマこんじきの馬体



かの女の競馬熱は
とどまるところを
知らない こんやも
カクテルライトに浮き沈み
ターフのへりにぶら下がっている

あのこんじきの馬を追って
網羅した御託宣かきわけ
裸足でダッシュするこころ
中指のつまさきにだけチタンの
蹄鉄をはいて蔓薔薇のフェンスを
跳飛するそのこころ

あのこんじきの馬を追って

さあいま一番ハイパーコダマが
最内をついて
先頭をきって



かの女ははためくローブになり
こんじきの体をくるみ込み
あの馬をさらいたい
はるか西方の
草のはら続くつづく空
黒々とした空がプラズマ放電に
裂けていく



こんやも
紙コップこんじきの泡に
まみれ加速を
こころまかせにあげていく
はじけとぶゲートを
蹄からはねる土くれを
かえりみずうちすてて走る
あの馬の背骨のたわみを思い

かろうじてぶら下がっている
ターフのへりで沈み
ときに浮く






自由詩 オシラ Copyright 田代深子 2003-12-10 13:16:29
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