帰りたくない僕等
虹村 凌

君のSOSが何処にも届かない



帰りたくない僕等は
冷やっこい煙草なんかふかしながら
汗をかいて夜の街を歩いていた
そんな
帰りたくない僕等


目指すは立川幸福の会
会員は帰りたくない僕等だけで
マンスリーレオパレスなんかで眠るんだ
部屋から見下ろす交差点は
麻雀牌で埋め尽くされて
帰りたくない僕等はうずくまる
出来の悪い 帰りたくない僕等


最終電車に揺られて
帰りたくない僕等は家路に付く
汗と空調の匂いに埋もれて
帰りたくない
帰りたくない僕に微笑む
その細い腕が綺麗だね

帰りたくない僕等はうずくまって
少しだけ喋っていた
僕は耳を塞いで
笑った
出来の悪い
死にたくない僕



自由詩 帰りたくない僕等 Copyright 虹村 凌 2005-07-02 22:45:08
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「うにいくら丼」