ネコの苦労を私は知らない
服部聖一

真夜中に電話が鳴る
行き詰まると決まって電話してくる、古い友人から

あんたの人生を下取れんからね
どうしたらいいのか
意見は言えても
責任はもてん

もうやめるって
これから先、
いまの暮らしと、人間捨てて
ネコになるわけにいかんやろ
ほんとは、それも有り、なんやけどな


絶対に欲しいモノが、あるんなら
持ちすぎた荷物捨てて
身軽になって
ぽんと、飛ばんことには手には入らん
なんも捨んと、金で手に入るものの価値なんか、
たかが知れてる
ネコは小判を欲しがらん、もっと大事なモノ持ってるしな

いちばん しなあかんのは
何が、ほんとうに必要で
なくっちゃならんモノは、何なのか
自分に問うて 自分の答えを見つけることや

声が受話器ごしに反響する
生きていることに生きている
自分の立ち位置に、甘えはないか?


自由詩 ネコの苦労を私は知らない Copyright 服部聖一 2005-06-25 00:25:56
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