手紙
虹村 凌

元気にしてる?俺は日々バイトに追われているよ。
店長は変なヤツだし、日勤は俺と同い年の人とかいないし。
全く、やれやれ…だぜ。

そう言えば最近、愛はコンビニじゃ買えない事に気づいたんだ。
誰も買いに来ないし、発注した製品の中にも、愛なんてひとつもなかったよ。
店を隈無く探したけれど、何処にも愛なんて無かったんだ。
全く、とんだ寝言だと思ったよ。

前に振られそうになったって、話を聞いていた時から。
知らないでしょ。
だって言ってないもんね。

でも、彼が君に甘えた以上、俺は君に甘える事は許されない。
君のチカラどうこうよりも、これは俺の中での問題なんだ。
彼は涙を見せて、君の膝の上で眠り、手を握った。
だから、俺は君に甘える事を許されないんだ、これ以上は。

愛しちゃいねぇ。
君の為に死ねないなんて思わない。
俺が死んで君が助かるのなら、俺は喜んで死のう。

君は幸せがどうこうと悩んでいたけれど、
そんなつまらない事で悩まないでくれよ。
君は答えを知っているだろう?

君の乳房に抱かれて眠りたい。
君の乳房の上で踊りたい。
君の乳房の中で。
その細い腕の中で、安心して眠りたい。
それだけだよ。
その細い身体と一緒に、湯船に浸かりたい。
雨の降る音を閉ざしたカーテンの奥で。
安らかな眠りを与えて欲しい。

君の、乳房の中で。














追伸
これは告白であって、あくまでも俺は君に甘えない。



自由詩 手紙 Copyright 虹村 凌 2005-06-22 15:21:38
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「うにいくら丼」