ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
虹村 凌

ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
今日も彼らは真っ赤なミニクーパーに乗って
その小さな窓からシイタケを投げつけるんだ

自分の為に生きなくてもいいじゃんか
何て強がる奴らがそのシイタケを拾って
目をとろんとさせながら
「こいつぁ極上もんだぜ」
とか言いながらジャックオフしてるんだ



ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
今日の彼らは真っ黒なクラシックビートルに乗って
その天窓から小麦粉をばら撒くんだ

誰かの為に生きてるんじゃないぜ
何て言って粋がってる奴らが地面に這い蹲って
目をぎらぎらさせながら
「こいつぁ混ざりもんだぁ」
何て言いながら鼻の頭を真っ白にしてるんだ




ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
明日の彼らは真っ白なロールス・ロイスに乗って
その車を138人目のホームレスに渡しちゃうのだ


「お前の心は何処へ行った?」
何て言いながら紙コップをじゃらじゃら言わせる
そんな彼に大きなプレゼントをあげちゃうのだ
でも1ドル札は絶対にあげない
ロールス・ロイスが彼らの心だから
彼らはロールス・ロイスをあげちゃう事に決めているのだ




ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
彼らは知り合ってまだ3日目だ
吸ってる煙草も好きなソーダも
さらにはキャンディーだって正反対の趣味なのだ
それでもロックンロール・パンプキンは
スウィート・ハニー・バニーに惚れちまって…
その逆でもあるんだ
だから、今日も彼らは車に乗っていくのだ




ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
何時だって頭を空っぽにして今を楽しむ
その気になりゃあ何処だってセックスしちまうし
その気になりゃあ銀行強盗だってやってのける
でもロックンロール・パンプキンは知っている
スウィート・ハニー・バニーも知っている
何時までも一緒にはいられないって事を


ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
ベッドの上で二人で煙草を吸いながら黙っている
ロックンロール・パンプキン
「出ていく前に、俺を起こしてよね」
煙草の灰がベッドに落ちた
スウィート・ハニー・バニー
言葉を飲み込む
知っているのだ
明日の朝に気づかれないように部屋を出る事を
スウィート・ハニー・バニー
煙草の灰が涙を吸って堅くなった





ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
一睡もせずに夜が明けてしまった
最後の煙草を取り出して火を点けたとたん
二人して笑い転げた
ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー
シーツをぐちゃぐちゃにするまで笑って
キスをして起きあがった
カーテンを開けると
ロックンロール・パンプキン
真っ黒い影になって
白い光の向こうに見える

スウィート・ハニー・バニー
目を細める
カーテンを閉めて?と言っても
カーテンは閉まらない
スウィート・ハニー・バニー
窓の前には誰もいないのに





























スウィート・ハニー・バニーへ
僕は行くよ


自由詩 ロックンロール・パンプキン&スウィート・ハニー・バニー Copyright 虹村 凌 2005-06-18 12:04:43
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