ぶんぶんぶん
虹村 凌

ぶんぶんぶん!
僕等は歩いているのだ、手に手に何かを持ちながら。
それは煙草であったり、燐寸であったり、鉛筆であったり。
僕等は歩いているのだ、手に手に何かを握りながら。

ぶんぶんぶん!
よく分からないけれど、分かってない事は分かっている。
何をするべきなのだろう、何がどれだけ出来るのだろう。
よく分からないけれど、やるべきなんだって事は分かっている。

ぶんぶんぶん!
誰かを傷つけない為に、どうしたって他の誰かを傷つける。
へらへらしてても、隠しきれないのは俺だ。
誰かを愛する為に、どうしたって他の大きなものを失うのだ。



ぶんぶんぶん!
僕等は歩いている。
手に手に、何かを握りしめながら。
もしくは、ポケットに何かを隠しながら。
天国へのパスポート、森へのパスポート。
バイクの鍵、消しゴム、肥後刀、硝子玉、乾電池。
通りのカタナが、僕等を傷つけてゆくけれど、
僕等は決して負けたりしない。
何故なら、
ぶんぶんぶん!
と、僕等は歩いているからだ。



自由詩 ぶんぶんぶん Copyright 虹村 凌 2005-06-17 22:59:35
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「うにいくら丼」