Shaman's Temptation
佐々宝砂

手を伸ばせば届くところにいる
わたしのかげ
ううん
見えるところを探しても だめ
窓のそとの闇に
いくら目をこらしていても むり

ひとりで銀河に立って
ひとりで爆発して
わたし
すこしからだが冷えてきた

おねがい
すこしだけこっちにきて
すこしだけわたしと飛んで
わたしのかげと
すこしのあいだだけ

あなたひとりでは見えない世界を
見せるから
きっと

溌剌と熱いのがわかる
あなたにわからなくても
わたしにはわかる
ぴんと張ったばねのように
緊張した筋肉が
夜の弦をかきならす
まだ音楽になってるとは言えないけれど
わるくない
いまはそれ以上ほめてやらない
わるくはないけど
わるくはないだけ

わたしは傲慢で高慢ちきだから
みとめない
わたしはたったひとつの意味で嫉妬深いから
ゆるさない

飛んでいいのはわたしだけ
だからわたしはあなたを突き落とす
あとすこししたら


自由詩 Shaman's Temptation Copyright 佐々宝砂 2005-06-13 02:26:24
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