人生はたぶんハイキング
落合朱美



1.


先を急げば
見失うものが沢山あるけど
先回りして
待つのもいいかな
なんて思うこともある


2.


夏の日の雲は
柔らかくて大きくて
わたしの悩み事なんて
なんだかとっても
ちっぽけなものに見えてくるね


3.


自分よりも
お皿の脇に添えられた
パセリの方がよっぽど
存在感があると気付いた日
レストランでひどく泣いた


4.


歩くことは身体にいい
歩くことは気持ちがいい
歩くことはお腹がすく
お腹がすいたらご飯にしよう
食べたらきっと眠くなります



5.


生まれてきたときの
苦しみなんかとっくに忘れて
死にゆくときの苦しみを
思い描いては恐怖し
現在(いま)から目を背けている


6.


鳥にあこがれ
魚にあこがれ
夢から醒めれば
私が私であることの
素晴らしさったらないわ!


7.


気分よく生きたいね
楽しいばかりの人生では
ないけれど
それでもできるだけ
気分よく生きたいね


8.


笑うと言う字を書いた
じっと見ていると
字がほんとうに
笑っているように見えて
わたしもつられて笑った


9.


なんとなく
流されるままに生きてきたけれど
流れ着いた先が
あなたのところだったから
私は救われたのかもしれない


10.


先をゆく人が
落としていったカケラを
拾い集めては
繋ぎあわせているような
そんな人生ではありますが。



自由詩 人生はたぶんハイキング Copyright 落合朱美 2005-06-11 13:48:59
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